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「弘前の丁寧な暮らし」を求めて

大工だった父の仕事を見て育ち、自分も大工になろうと修行を始めたのは20歳のときでした。就職した工務店は設計事務所やハウスメーカーの下請けをしていたので、自然とさまざまな設計や工法、部材などを知り、比べることができました。当時つくっていた家は、ビニールやプラスチックを使った新建材を使用していることが多く、施工中は室内に薬品の臭いが充満していました。それが当たり前でした。

転機は設計事務所との仕事です。無垢の木材をふんだんに使った家で、木の心地よい香りとなめらかで温かい肌触りを今でも覚えています。高性能住宅を建てる機会もありました。やはり当たり前になっていた、工事中の暑さや寒さがなく、快適に作業ができました。

8年の修行期間には大工としてだけでなく、設計士としてもさまざまな学びがありました。快適な家がどういうもので、どうやってつくるのか。感覚や知識を養い、手を動かして技術を身につけました。アフターメンテナンスも大事な勉強の場でした。お客様の率直な意見に喜んだり、反省したりして技術を磨きました。そうした経験は、現在の私の設計に深く結びついています。

独立してからさまざまな人と会い、ともに家を建て、暮らしを見守るうちに、木材でつくった高性能な家は住み心地がいいだけでなく、その先には家への愛着があり、家への愛着があるからこそ丁寧に暮らしたいという気持ちにつながるのだと考えるようになりました。四季がはっきりした美しい弘前で、「丁寧な暮らし」を享受してもらいたい。そんな願いを込めながら、一棟一棟、髙山建築は大切に家をつくっています。