2025.04.25

弘前の四季と音楽が彩るセカンドライフを楽しむ小さな平屋

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青森県弘前市・Tさん宅 |夫婦60代・40代

Tさん宅は広さ約25坪の平屋。「岩木山を眺めながら音楽が聴ける平屋で、広さは暮らしているマンションに近い20坪程度」というご夫妻の要望を受けて設計された

大学進学を機に40年以上も東京で生活していたTさんは、セカンドライフは生まれ育った弘前でゆっくり過ごしたいと考えるようになります。やがて定年を迎えると、移住に賛成してくれた奥さんと一緒に、実家の建て替えに本腰を入れ始めました。

季節ごとに表情を変える岩木山が望めるよう、西側に大開口を設けた。窓はトリプルガラス+樹脂サッシの高性能仕様。約1.8mの軒の出が西陽を遮り、真夏でも快適に過ごせる

自作のアンプやスピーカーを含む3セットのオーディオシステムを所有しているTさん。リビング・ダイニングの間取りはそれらの設置場所や音の広がり方、専用コンセントの位置など、音響を中心に設計された

思い描いたのは、ご夫妻の個性と四季が感じられるコンパクトな平屋です。弘前の気候風土を熟知し、希望に合わせて柔軟に設計してくれる地元の工務店を依頼先に定めて、インターネットで情報収集。訪問・面談した複数社の中で最もお二人の話に耳を傾け、要望に寄り添ってくれたのが髙山建築でした。

構造材はアカマツ材、LDKの床や階段は北海道産のカラマツ材で仕上げた。ダイニングのCDラックは造作で、約1,700枚のコレクションが収納可能

「オーディオシステムはフローリングの上に置きたいが、畳のスペースもほしい」というTさんの希望に応えた一室。昼間はLDKの一部として、夜は建具で仕切って寝室として使っている

ブナの天然木を使った「BUNACO」の照明が空間のアクセントに

依頼の決め手となったのは、ご夫妻の希望に近い20坪の平屋の見学会です。木が香る室内は3月でも全体が心地よい暖かさで、まさに理想どおり。「何よりも施主さんと髙山社長が、お互いに信頼と敬意を持って接している様子が印象的でした」と、Tさんは当時を振り返ります。

東京から遠隔での家づくりでしたが、オンライン会議やメールなどでこまめに打ち合わせや情報共有をすることで不安が払拭され、安心して進められたそうです。

リビングの大きな窓へ向けて開いた対面キッチン。勝手口の外は駐車場で、買った荷物をキッチンへ直接運び込める

アカマツ材で造作した欄干が美しい広々としたロフトは、コンパクトな住まいで重宝する余剰空間。ログハウスに憧れていた奥さんの希望で、家には木材をふんだんに使用している

ロフトの一角に設けた書斎は、Tさんのお気に入りの居場所。この空間に設置したエアコンは冷房用で、冷気がロフトの床を伝ってゆっくりと階下に降りる

2025年1月に移住したご夫妻は、大好きな音楽を聴きながら岩木山を眺めるセカンドライフをスタート。温熱環境や生活動線の快適さも想像以上でしたが、さらに感心したのは、床まである縦型の手すりのつかみやすさや、空間を適切に照らすペンダントライトの高さや配置です。

「暮らして初めて、設計のすべてに配慮が行き届いていることを実感しています」とご夫妻。住まいの中で遭遇する心地よい発見や驚きが、新居での暮らしの楽しみになっています。

トイレとロフトへの階段を中心にした回遊動線と、間仕切り壁の少ない空間構成がコンパクトさを感じさせない設計のカギ

コートかけを組み込んだオープンなシューズクローク。室温がどこも一定のため、雪で濡れた長靴や傘も次の日には乾いているそう。適材適所の収納計画が、暮らしやすさを助ける

玄関まわりはマツ材を張った外壁仕上げに。重さに強い構造体と屋根から雪が落ちにくい素材を施した「耐雪型住宅」で、雪下ろしの負担も軽減

Tさんご夫妻の家はコンパクトな平屋。髙山建築の「耐雪型住宅」は、1.3mの積雪にも耐える強い構造体を持つ